養蜂事始め

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まだ朝夕冷えるとはいえ、ようやっと桜も咲き、いよいよ春本番という雰囲気になりました。
畑の計画をたてたり、開墾したり、ニワトリも飼いたいし…やることが山盛りで、はちのわ日誌がすっかりご無沙汰になってしまいました。

ソメイヨシノ満開

蜂場にタンポポが咲いたら巣箱の冬囲い(越冬用カバー)を外す、と決めています。
先日無事冬囲いもとりのぞいて、ミツバチたちも本格的に活動開始しています。

ただ、昨年に比べると越冬明けのミツバチの数が少なかったこともあり、春の採蜜に増勢が間に合うかどうか…という按配です。
昨年までの私だったら「はちみつが採れなかったらどうしよう…!」とめっちゃ焦っていたと思います。
でも今年は、ダメならダメで仕方ない…と思うことにしました。
そうしたら、とても気が楽になりました。
今年は、「はちみつをお届けしなければ!」という縛りから一旦自分を解放しようと思います。
在庫もないので、オンラインショップは一旦お休みにさせていただいています。
申し訳ございません。どうか、ご理解のほどよろしくお願いします。

さて、春は養蜂を始めるのによい季節…と前回書いておきながら、どんどん時間が経過してしまっていますが、今回から、養蜂のノウハウというか、養蜂情報を、私の経験を軸にしてお伝えできたらと考えています。
思いつくままに書くため、書き漏れや話が前後してしまったりなどがあるかもしれませんが、都度補完しつつ進めていければと思っております。

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私が養蜂を勉強してみたいと思ったのは、テレビでニホンミツバチのはちみつを紹介しているのを見たのがきっかけです。
ニホンミツバチのはちみつはとても貴重で高価なのものだと紹介していました。

当時、田舎暮らしでの現金収入の方法を模索していた私は、「お、これはよいのでは…?」と思ったわけです。
ちなみにその時点で恥ずかしながら私はミツバチやはちみつには特に興味はありませんでした!
完全に「お金目当て」でした。

しかし結論から先に言ってしまえば、ニホンミツバチのはちみつを販売することで生計をたてるのは無理、といってよいでしょう。
またやってみて分かりましたが、セイヨウミツバチでも、けっこうハードルは高いと思います…
数人で作業して大規模に飼育するとか、はちみつの販売だけでなく、複合的に何か(ワークショップなど?)展開したりできれば、希望はあるかと思いますが、ミツバチがたくさんいても周囲に蜜源植物が十分になければはちみつは採れませんし、天候や開花具合、ミツバチの群勢にも左右されるので、本当に見通しが立ちにくいです。

当時私は、ニホンミツバチとセイヨウミツバチの違いもよく分かっていませんでした。
とにかく養蜂を教えてくれるところないかな?と探したのですが、全然ないのです…
単発とか、イベント的なものはあったと思いますが、本格的に学べそうなものは見つかりませんでした。

どうしようかなぁと思っていたところ、その当時通っていた週末農業スクール※で、「来期から養蜂のコースを開始します」という知らせがあったのです。なんというタイミング。迷わず申し込みました。
(※週末農業スクール「マイファーム」。現在「アグリイノベーション大学校」という名称になっています。残念ながら現在は養蜂コースは無いようです。)

もちろんセイヨウミツバチの養蜂のコースで、プロの養蜂家の方が指導してくれました。
ただ、その先生は養蜂家というよりは事業家といったタイプ(しかもかなり押しの強い)で、養蜂の技術よりも、商売についてのレクチャーがメインといった感じでした。
その先生によると、養蜂でめちゃ稼げる!というので、単純な私はすっかりのせられました…

振り返ってみると、その先生からは技術的なことは多くは学べませんでした。
しかし、初めてミツバチと接した私は、ミツバチの魅力にはまってしまいました。
また、一緒に学んだ仲間たちと、ミツバチを通じていろいろな経験ができましたし、その後も交流が続いているのは嬉しいことです。
その仲間の一人が、ある養蜂家さんとつながったことがきっかけで、私も見学などさせていただき、その後通いながらお手伝いなどをさせていただくようになりました。

その養蜂家の方はオープンな方だったので叶いましたが、通常、養蜂家の方が現場を見せてくれたり、教えてくれたりといったことはレアかなとは思います。
でも、もし本気ならばダメもとで聞いてみるのもいいかもしれません。
養蜂界も高齢化が著しいですし、中には弟子をとったりしている方もいます。
先人の技術を伝授してもらえるのはありがたいことです。ただ、養蜂家の数だけやり方がある、といいます。
教わったことだけが正解というわけでもないので、実際に自分でやってみて、自分なりの方法を見つけていく意識でいたほうがよいと思います。

あくまで趣味でミツバチを飼いたい方はニホンミツバチがおすすめかなと思います。
意外と、いるのです。ニホンミツバチ。
セイヨウミツバチは、趣味で飼うにはお金も手間もわりとかかるし、場所も必要です。
何より、住宅地などの場合、ご近所への配慮がニホンミツバチ以上に必要かと思います。

ニホンミツバチでも、気は遣います。
私も、密集地ではないものの住宅地で移住前からニホンミツバチを飼っていましたが、普段は全く心配はなかったのですが、分蜂したり、置いた巣箱にミツバチが入居するときなどは、ミツバチの乱舞で十数分程度の間ちょっとした祭り状態になるので、肝を冷やしたものです。

以下、ミツバチを飼うにあたり、念頭に置いておく必要のあることをざっと書きます。

  • 刺されることは普通にある(最悪アナフィラキシーショック)
    (何もしないのに襲ってくるようなことはありませんが、ミツバチが嫌がることをすると刺されます。また、気性の荒い群というのも存在します。ニホンミツバチはセイヨウよりは穏やかな傾向。)
  • 分蜂すると大変(人の多い場所では大騒ぎになる可能性。)
  • 特に越冬明けなど、飛びながら糞をたくさんするので、洗濯物や車などを汚してしまう(特に白色のものに糞をつける傾向があります)
  • 秋はスズメバチがミツバチを襲いに来る(怖いけれど何らかの対処をしなければならない)

こう書いてみると、楽しい感じが全然しないな!と我ながら驚いていますが、それでもミツバチはかわいいのです…

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ニホンミツバチは野生なので、飼うためには巣箱を置いて誘いこむのが基本です。
キンリョウヘンというランの花を巣箱前に置いておくと誘引効果があるそうです。
人工的に作られた誘引剤もあります。
何もしなくても、巣箱の場所や様子をミツバチが気に入れば入居してくれます。

分蜂した群を譲ってもらえる場合もあると思います。
販売されてる場合もあるようですが、地域をまたいで病気を広げたりする恐れもあるので慎重にしたほうがいいかもです。

重箱式巣箱なら、厚い杉の板材などが手に入れば自作も可能です。
地域にあるニホンミツバチの会などで巣箱を販売していたり、セミナーなども行われるので、入会してみるのもよいかと思います。
私は「信州日本ミツバチの会」に入っています。
一番の老舗は「日本在来種みつばちの会」です。

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セイヨウミツバチは、日本の自然界にはいないのでまずは「種蜂(タネバチ)」を業者さんから購入し、その後自分で増やしていきます。
だいたい巣枠1枚分のミツバチで1万円くらい。3枚〜5枚群を購入するのが一般的です。

セイヨウミツバチの飼育は最初は2群か3群から始めるのがよいです。
1群だけですと、もしその群の女王蜂が死んでしまった場合にリカバーが困難です。
また逆に、いきなり多めの群だと初心者には世話がしきれなかったり、地域の養蜂協会からNGがでる可能性があります。

ミツバチの飼い始めについて、また次回続きを書きます。

春を迎えた八ヶ岳