事始め補足

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(5/9に一旦公開しましたが、加筆して再公開しています)

日に日に緑が濃くなり、白茶色だった景色がうそのようにいきいきとしてきていて、気持ちもワクワクしています。
今ヤマザクラの花が散って、ウワミズザクラが咲き出したところです。
GWは、畑の準備や、ニワトリ小屋作り、もちろんミツバチの仕事もあって、ゆっくりする間もなくあっという間に過ぎました。

少し前に、地元の方から株ごといただいた冬菜(「ふゆな」と読むのかと思ったら、「とうな」でした)を庭に植えたのですが、無事に根付いてくれて、花を咲かせてくれました。
ミツバチや蝶、その他の虫たちが訪れて、嬉しいです。
虫たちに受粉してもらい、種ができたら採って、来年のために蒔くつもりです。

前回の記事で、はちみつだけで生計をたてるのは難しい、…と書きましたが、書き漏らした点がありました。
はちみつを採る他には、ポリネーション(花粉交配)用に農家さんにミツバチを貸し出す、という収入の方法もあります。
ただ、貸し出すといっても、基本的にはミツバチは戻ってこない(焼却処分される)か、かなり疲弊した状態で戻ってくる前提でいたほうがよいと思います。

ちょうど届いた「日蜂通信」(日本養蜂協会の会報)に載っていた記事

私も地元の協会の方から、ポリネーションにミツバチを出したらどうか、と言われましたが、出したミツバチは却ってこないと言われたので…貸し出し業務に手を広げる余裕がないこともありますが、かわいいミツバチを片道切符で送り出す勇気もないので、うーん…と考えてしまいました。

ミツバチの世話がきちんとできる農家さんならば大丈夫だと思います。
農家さんからポリネーション用のミツバチを継続維持できるようケアを依頼されたという蜂友の話も聞いたことがあります。

ウワミズザクラが咲き始めました

私は生計をたてようというつもりで養蜂を始めましたが、(はちみつだけでは)無理かも…?って思っているところです。
完全にあきらめたわけでもないのですが、どこまでできるかなぁというのは私自身まだ見えていません。
個人としては今年で養蜂歴8年目となりますが、2019年までは遠方から約週一ペースで通ってやっていたので、群数を増やすのにも限度がありました。
定住して昨年初めて25群くらいまで増やしましたが、結局世話が十分に追いつかなかったところがあります。

オリジナル巣箱でのオペレーションがまだ完全に確立していなかったり、手間のかけ方の問題(化学合成の薬剤を使わないとか、いちいちミツバチに感情移入してしまう…など…)などもあると思いますが、私のやり方では一人で世話ができる群数はやはりそう多くはなさそうだなと思っています。
そもそもはちみつを全採りしないようにしていることもあるのですが、はちみつの収量が基本的にはそう多くはないこともあります。

実際、養蜂講座で学んだ同期で養蜂メインでやっている仲間もいるので、生計を立てるのが不可能な話ではないはずなのですが…
実際どのように運営しているか実情は知らないのですが、少なくとも私より飼育群数は多いと思いますし、家族でやったり、複合的な事業展開もしっかりできているのだと思います。
私もビジネスとして、もっとシビアに考えた方がいいのかなーとも思いますが…やはりなるべくミツバチにやさしく…とか考えていると難しいかもです。

地域の養蜂協会の個人会員の飼育数は、だいたい数群〜数十群という感じです。
はちみつで生計を立てているかはわかりませんが、この群数だとそれは難しいと思います。

かなり大規模に事業としてやっているところでは、家族経営や会社組織で数百群飼育している感じです。
家族でやられているところは、年中無休、朝から晩まで休みなしという感じで、見ていて本当に大変そう…って思いました。
また大規模だと、大型トラックとか、大きな倉庫とか、大きな設備が必要です。
一群一群を短時間で手際よく管理しなければなりませんし、ダニ駆除などにも、基本は化学合成の薬剤を使って効率よく対応することになります。

ただ、以前にも書きましたが、今展開されている世界情勢などを見ていると、今後の世の中では、農業分野だけをみても、効率優先で利益を出すことを第一の目的にして大規模に何かを展開するというのは難しくなるのではないか、とヒシヒシと感じるので、個人や仲間などでできる範囲で、継続可能なやり方でやっていく方向に変わっていく時代ではないかと思います。
お金は必要ですが、これからは、お金を稼ごう、という動機だけではたちゆかなくなるのかもしれないと思います。

今、単一作物を大規模に、農薬や化学肥料を多用して栽培している畑などは、その資材が使えなくなった時にはどうなっていくのだろうな…と思います。
すでに今までの政策によって日本の農業はかなり追い込まれて(日本が実質的には独立国でないという点が大きいと思いますが…)いるようですし、遺伝子組み換え作物なども増えていくことが予想され、昨今の情勢による打撃も加わり、実際もうけっこう危機的な状況であるという話です。

私が夢想しているのは、耕作放棄地を豊かな土に復活させて多様な作物を育てる畑が増えたらいいなというのもありますが、蜜源のお花畑を作ってはちみつが採れたらいいなと…
お花畑プロジェクトは、行っている自治体もありますね。
例えば日本全国、そういったプロジェクトとか小規模養蜂家が増えて、日本全国の、地域色の出た安心安全なはちみつが普通に食べられるようになったらいいなぁと思います。

今まで、大規模にたくさんの食べ物を作ってくれる農家さんのおかげで私たちは食べるものに困らずに生きてくることができましたが、これからは小規模農を増やして、自分たちで食べるものを作っていく時代かもしれません。

・・・

話がずれてきてしまったのですが、もうひとつ、前回書き漏らしたことで、養蜂を始める時に念頭に置いておくこととして、
「場所によってはクマがはちみつを狙って巣箱を襲いにくる可能性がある」
ということがあります…。
私の蜂場には幸いまだ来ていませんが、近隣に目撃情報があるので、心配はぬぐえません。
電柵をしていますが、万が一鉢合わせしたらどうしよう、と時々頭をよぎります。
熊よけスプレーも持っていますが、いざとなったら冷静に対応できるかな?と自信がありません。
また楽しくない要素プラスです…「こわいことばっかりだね!それでも養蜂をやりたいってどういうこと?」と思われるかもしれませんね。
でも、なんでしょうか、ミツバチはとてもかわいいし、不思議だし、エライし、魅力的なのです。
花粉をつけて帰ってくるミツバチを見るだけでもなぜか嬉しくなるのです。

養蜂を始めるにあたっては、都道府県への届け出(ミツバチ飼育届)が必要です。
また、養蜂協会への加入をどうするかということもあります。
この点はまた次回に書きたいと思います。