悩ましい問題(1)

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ミツバチにとって大きな問題のひとつにダニがあります。
養蜂家が避けて通れない問題となっています。
多かれ少なかれ必ずいると考えなければなりません。
ダニの話など避けたいな…とも思ったのですが、養蜂に関わる問題についてお知らせすることも大事かと考えました。
1/22にご紹介した動画を見ていただけると概要がお分かりいただけると思いますが、問題のダニは2種あり、動画内の「Varroa destructor」というのが「ミツバチヘギイタダニ」、「Acarapis woodi」が「アカリンダニ」です。
ミツバチヘギイタダニはその名のとおり、ミツバチにつく平べったいダニです。
西洋ミツバチにおいて大きな問題となっています。
ミツバチの巣房に入り込み、幼虫の栄養を吸って増えます。
ミツバチは生育不全になり、弱体化した群は滅んでしまいます。
実際に、ダニが原因で群の大半を失った養蜂仲間もいます。
日本では巣箱内につり下げる薬剤が2種認可されており、採蜜に影響のない時期にこれで駆除するのが一般的です。
「アピバール」(アミトラズ系)と「アピスタン」(フルバリネート系)という、ダニ殺剤です。
やっかいなのが、ダニは薬剤に対して必ず耐性をもつようになるということです。
同じ薬はいつか効かなくなるのです。
そうでなくとも化学合成の薬剤はできれば使いたくありません。
はちのわでは、手間はかかりますがタイムのエッセンシャルオイル(チモール成分がダニに忌避される)などを使用してダニを抑えてきました。
また、ヘギイタダニはミツバチの雄の幼虫を好んでつくので、雄には気の毒ですが、雄の幼虫ごととりのぞいて駆除する物理的な方法もとってきました。
写真は、シュガーロール法といって、ミツバチに粉砂糖をまぶしているところです!秋に行いました。
ミツバチをシェイクするのがとても心苦しいのですが、ミツバチが死ぬ事はありません。
こうすることによってミツバチにくっついているダニが落ちるので、ついている率をチェックすることができます。
率が低ければ薬剤は使わないつもりでした。

ミツバチに粉砂糖をまぶしています…
ミツバチに粉砂糖をまぶしています…
しかし、大丈夫そうと思っていた群も、後のチェックでは率があがり、ダニの厄介さを実感しました。
群を失うよりは…と越冬前にアピバールによる対策をしました。
それでもダニが既に耐性を持っていたら…?と考えると心配です。
しかも寒冷地でも死滅することはないそうで…なんとしぶといのでしょうか。
チモールを含め、シュウ酸や蟻酸といった自然界に存在する物質での対処方法もあります。
これならばダニに耐性もつきません。
ただ、劇物のため取扱いに危険をともなったり、農薬系に比べ効果が低い、効果的な使用方法が確立していないなどの問題もあります。
しかし、オーガニックで持続可能な養蜂を目指し今後もトライしていきたいと考えています。
元々ヘギイタダニは東洋ミツバチ系についていたダニだそうです。
日本ミツバチはお互いにグルーミングしてダニを落とす能力があるのであまり大きな問題にはなりません。
実際に、日本ミツバチがグルーミングしているところを見たことがありますが、実に丁寧に羽の付け根から背中からグルーミングしてあげていて、とても微笑ましかったです。
西洋ミツバチでも、そのような行動をするものが現れているそうなので、そういう能力が高まることも期待しています。
もうひとつのダニ「アカリンダニ」については次の投稿でご説明します。

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