現在、日本で消費されるはちみつのほとんどが輸入品です。
国産はちみつの割合は全体の5%にも満たないのが実状です。
輸入はちみつのうち約8割は中国産が占めています。
そして日本で出回っているはちみつが、全て「本物の」はちみつなのか、というと…。
前回のコラムでお話しした加熱の問題に加え、日本においてはまた特殊なはちみつ事情があるのです。
はちみつにはCODEXによる国際規格があり、その定義を要約すると、はちみつは「植物の花蜜や分泌物などからミツバチが作り出す天然の甘味物質であって、ミツバチが巣房の中で熟成したもの」であり、なおかつ「はちみつ以外のものを添加してはならない」「成分が変化したり品質が損なわれるような加熱や加工をしてはならない」等となっています。
つまり、欧米ではちみつといえばミツバチが作ったそのままのはちみつのことであって、人間が何か手を加えたものは、はちみつとは呼べないことになっているのです。
一方日本では、「全国はちみつ公正取引協議会」による自主規約があり、はちみつには以下の4種類があることになっています。
1)はちみつ、2)加糖はちみつ、3)精製はちみつ、4)巣はちみつ
このうち、
「加糖はちみつ」とは、はちみつに人工的に作られた甘味料を加えたもの。
「精製はちみつ」とは、はちみつから臭いや色等を取り除いたもの(清涼飲料水や化粧品などに利用される)。
これらを「はちみつ」と呼んでいいのか甚だ疑問ですが、表示さえすればよいことになっています。
では、これ以外なら本物のはちみつなのか、というと…
実際は、はちみつに人工の甘味料が加えられていても、検査で100%検出できるかというと難しいようです。
また、加熱処理されて成分が損なわれていても、「純粋はちみつ」として売ることができます。
「全国はちみつ公正取引協議会」は、はちみつ業界内で作られた加入義務のない団体で、検査も、流通する全てのはちみつに対して行っているわけではありません。
結局、日本においては、売られているはちみつが本物といえるのかどうかは、養蜂家や販売者の意識やモラルに委ねられているのが現状なのです。
中国産についても、日本が安い値段でしか買い付けてくれないために、本物を提供することができないという事情もあるようです。
高品質な中国産はちみつもあるのですが、それらはアラブの王様などお金持ちのお口に入るとか。
安く大量に出回っているものの裏では、何かが犠牲になっている…、という現実は、はちみつにもいえることなのです。
2014.8
参考文献:
上之二郎(2003)『ミツバチが泣いている』集英社
川島茂(2007)『ハチミツの「危ない話」』三五館