2023年、あけましておめでとうございます。
昨年内に越冬について書く、と言っておきながら、案の定というか、年が明けてしまいました。すみません。
ささっと書くつもりで書き始めたのですが、いろいろ書き足したくなってしまい、まとまらなくなってしまいました(言い訳)。
果たしてどのくらいの需要があるのか分かりませんが、自分が養蜂を始めた当初は、とにかく情報を血眼で探しまくっていたので、どんなささいな情報でも、どなたかの役に立つこともきっとあるだろうと思っております。
あらためまして、越冬、主に冬囲いについてはちのわの考えを書きます。
追記したい分は別の機会にまた書くことにしようと思います。
なおここは標高1,000m超の寒冷地で、冬の最低気温はマイナス15℃以下になることもある場所ですので、温暖な地域では一部あてはまらないこともあるかもしれません。
また前回書いたように、私は養蜂歴たかだか約8年でベテランでもなく、失敗を重ねる中でたどり着いた現時点での方法がベストだと確信しているわけでもないので、今後も改良は続くかなと思います。
ただ、この方法で、2020年は全群(15群)越冬できました。
2021年はダニ被害のためにミツバチが弱体化してしまい越冬できなかった群も出てしまいまいましたが、今年はいけそうな気がしている…というところです。
そんな感じですが、もしご参考になる点があれば幸いです。
なお、日本で流通している巣箱だと、越冬も含めてやりにくさを感じる点が多かったので、はちのわでは数年前からオリジナルの巣箱を作成して使っています。
ですので、全く同じようにすることは難しいかもしれませんが、考え方としてご参考になればと思います。
冬囲いの主なポイント
1)巣箱上部(蓋)の断熱・保温
2)適度な巣箱内の換気
3)ミツバチが、巣箱内の寒い部分を通らずに移動して貯蜜にアクセス可能に
冬囲いは、基本的には風除けくらいの意識でいいのではないかと思っています(ただし巣箱上部はしっかり断熱)。
全体を分厚く覆ってしまうと、太陽が出てせっかく巣箱が温まるチャンスに、巣箱に熱が伝わらず、冷えたままになってしまうということがいえます。
温度が上がれば、ミツバチは蜂球をほどいて巣枠間を移動したりしやすくなります。
はちのわでは、日が当たると温まりやすいように黒いシートを使っています。
これは、海外の事例を調べていた時、黒いシートで巣箱を包んでいるのをよく見たのですが、これは屋根の防水に使われる建築用の「タール紙」のようでした。
ホームセンターで入手しようと思えばできたのですが、大きい上に厚くて取り扱いにくそうで、やめました。
凹凸の多い日本の巣箱ではうまく包むのは難しそうです。
結局使っているのは、厚めの黒いビニールシートです。(素材感としてはブルーシートのような感じ)
なお、シートの裏には前面を除く3面にアルミのクッションシート(ホットカーペットの下などに敷くもの)を貼り合わせています。
多少でも断熱効果を期待するのと、太陽の熱が内側で反射されればと思っていますが、いかほどの効果があるのかは不明です。
前面は断熱しないほうが太陽の熱が巣箱に伝わりやすいと考えてあえて黒いシートのみにしています。
また、巣箱内ではミツバチが集まって熱を発していますが、巣箱内の全体が温まるわけではなく、あくまで蜂球を中心として暖かいだけで、蜂球から遠い部分は低温です。
ですので、巣箱全体を分厚く覆っても、保温効果が高まるわけでもないように思っています。
これについては巣箱自体の板厚なども関係すると思いますし、最初の越冬の時に作った越冬箱(巣箱ごと、合板と断熱材で作った箱に収める)はよく機能したと思っています(ただ、作るのが一苦労…)ので、一概には言えないとは思います。
もう少し考察や検証も必要かと思いますが、はちのわの現在のこの程度の囲いでも越冬できるということは事実です。
また、巣箱を冷蔵庫にいれてしまう(産卵を止める目的?)という越冬方法もあるようですので、ミツバチにとって何がベストなのかは現時点で分かりません。
●巣箱上部(蓋)の断熱・保温について
あたたまった空気は上に昇るので、巣箱の上面から熱が逃げないように、また、あたたまった空気が冷気に触れることによる結露が生じないようにすることが大事かなと思っています。
巣箱の蓋裏に結露して、上部が湿っているという状態はかつてはよくありました。
ミツバチによって暖められ上に昇った空気が、外気で冷たくなった蓋の天板に触れたせいだと思います。
人間も体が濡れていると余計に寒いように、結露による水滴でミツバチが濡れると、ミツバチが弱ってしまいます。
はちのわの巣箱では、蓋の裏に断熱材を年間通してつけています。
夏は太陽の熱を遮断して、巣箱が熱くなりすぎないようにする効果もあります。
(断熱材もなるべく土に還る自然素材で…と炭化コルクも使っていますが、価格、扱いやすさの点ではスタイロフォームのほうがよいです。)
また、巣箱本体の上に、キルトボックスと呼ばれる箱を設置していて、そこに麻袋と羊毛の断熱材で作ったクッション状のものを入れています。(巣箱からの湿気が吸湿されるように)
これは必然ではないと思いますし、また羊毛でないといけないわけではなく、海外の例では木屑をつめていたりしました。
ともかく、断熱は巣箱の上部を重点的にして、結露を防いだほうがよいと考えています。
蓋を断熱して天板に外の冷気が伝わりにくくすれば、蓋裏の結露はある程度改善できるのではないかと思います。
従来の巣箱の場合は、蓋の上に断熱材を載せるなどするとよいのではないかと思います。
あたたまった空気が巣箱内のどこかで冷えて、ある場所で結露が生じてしまうのは仕方ないかもしれません。
越冬明けには、一番外側の巣枠がびしゃびしゃになっていたりします。
ただ、ミツバチが越冬中にいつも乾いた場所で過ごせるようにしてあげられたらよいのだと思います。
●換気について
結露を防ぐためには、換気も必要になります。
これが難しいなーと思うのですが、暖気が逃げすぎずかつ適度な換気ができること、巣門から入った冷気が蜂球を直撃しないような空気の流れにすること、がポイントかなぁと思っています。
例えば蓋に多いと四箇所換気穴がついてるものがありますが、それだと冷たい空気の流れが蜂球にあたりそうだし、開きすぎで寒くないかな?と思います。
はちのわでは上記のキルトボックスの前面に小さな開口部(top entrance)があり、これが換気口と、ミツバチの第二の出入り口になっています。
これも海外の事例を見て試してみたものです。
この換気効果と蓋の断熱効果のおかげだと思いますが、巣枠の上部はいつも乾いている状態になっています。
ミツバチは巣箱の中央〜上部で過ごしているもようです。
なお、巣門の幅を狭くするにあたって、昔は、冷気が極力入らないように小さく小さくと1cmくらいにしていたりしましたが、今は大体2.5cmくらい開けています。
通常の巣箱だと巣門しか出入り口がないので、気をつけていないと死蜂で塞がってしまってミツバチが出られなくなってしまったりすることがあります。
その点、上部に開口があると巣門を使わずに出入りができます。また、わざわざ寒い下に降りていかなくても済みます。
ただ、上部開口の大きさは、これで大丈夫かなぁ?とまだ悩むことはあります。
●ミツバチの巣箱内での移動のしやすさについて
巣箱内は、先述したように蜂球から遠い部分は低温ですので、ミツバチが貯蜜を求めて巣枠間を移動する際などに、例えば巣枠の下(巣門に近いところ)を通らないと移動できないようだと、低温にさらされることになります。
従来の巣箱の場合は巣枠上部に敷いた布の下に棒などを置いて移動スペースを確保するなどするとよいと思われます。
海外の例では、巣板に穴を開けている例もありました。
はちのわの巣箱では、巣枠の上部にスペースがあるので、ミツバチがそこを通って移動することができます。
また、高さの低い巣箱の2段構成になっているので、巣箱の中央部(上下の巣枠の間)に集まったり、移動したりすることができます。
(…と書いても具体的にイメージしづらいと思います。はちのわの巣箱については、いずれあらためてご説明できればと考えています。)
と駆け足で書かせていただきましたが、補足事項など、また思いついたら書きたいと思います。
各地で越冬中のミツバチが(もちろんはちのわのミツバチも)、元気で春を迎えられ、今年がよい年になりますように。