女王蜂のはなし

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9月は雨ばかりで、思うように作業を進められず悶々としていました。
ダニ対策も続けなければならないし、冬に向けて蜂の群勢を整えたり、
給餌(砂糖水や花粉パテ)もしていかなければなりません。
今年の越冬の装備も決めなければいけないし…
冬の訪れの早い蜂場、早く早く…と気持ちは秋を通り越しています。
そんな中、隠居生活をしていた星組の女王が産卵をしなくなってしまいました。
いわゆるたま切れ(蓄えていた精子がなくなった)…と思われます。
はじめてはちのわのミツバチとしてやってきた血統の、最後の女王でした。
通常、養蜂業では女王蜂は1年ごとに更新、
産卵力の低い女王蜂も新しい女王と交代させる…
つまり古い女王蜂は殺すことがセオリーとなっています。
女王蜂を殺す…これがどうしてもできず、昨年は産卵力の低い女王率いる雪組をなんとか盛りたてようと他群から蜂児を足したりしたのですが、結局弱いまま、日本ミツバチの盗蜂に遭って滅び…蜂児を減らされた群もその分弱くなり、いいことはなかったのです。
弱群のままにしておくとダニや病気も発生しやすくなり、
蜂場全体や周辺にとってもプラスにはなりません。
今年は、勢いの落ちた群の女王を、初めて自分の手で殺しました。
感触が今でも忘れられません。
亡骸を置くと、すぐに働き蜂たちが「お母さん!どうしたの!」と言うようにとりすがり、離れませんでした。
新しい女王蜂の入った王籠に、死んだ女王蜂をなすりつけてにおいをつけると早く群に受け入れられる…というのでやろうとしたのですが、自分はなんてひどいことを!と、落ち込んでしまいました。
星組の女王は元気だったので、自然に任せておけば、きっと交代の時期がきたら働き蜂が新しい女王を作るだろう…と思っていたのですが、パッタリと産卵がとまってしまい、新しい女王も誕生せず。
そんな話を師匠にしたら、なんと誕生したての女王蜂を譲ってくださいました。
いよいよ、星組の女王をとりのぞかなければ…
女王をつかまえましたが、すぐに殺す事ができず、ついてきた働き蜂とともに一晩一緒に過ごしました。
翌日、悩んだ挙げ句、外に放すことにしました…
久しぶりに晴れた日曜日、女王蜂を手にのせて、お礼とお別れの言葉をかけました。
女王はしばらくの間ウロウロし、羽ばたきしたあと、飛び立って行きました。
結局は、死んでしまうのですが…。
万が一巣に戻ったら分かるように、練習も兼ねて印をつけてみました…
本来女王蜂は一生のうち外の世界を味わうのは交尾飛行の時だけです。
最後にもう一度外の世界を…、というのはこちらの勝手なメルヘンなのでしょう。

ピンぼけですが…星組女王の最後の姿
ピンぼけですが…星組女王の最後の姿
などといってみても、雄蜂はダニ対策のためにもわりと躊躇無く殺してしまうし、働き蜂だって作業中にあやまってつぶしてしまうこともゼロではありません。
同じ命…女王蜂だけ特別に思うのは不公平ですね。
「かわいい」「かわいそう」という気持ちは無くしたくはないですが、あまりそれにふりまわされたり感情移入したりしていると作業がつらくなってしまうし、どこかで割り切れるようにならなければ…と言い聞かせています。
最近写真を撮る余裕があまりなく文字ばかりですみません。
5月に撮った動画と9月に撮った写真を載せます。

スローでかわいさ再発見…今度はもっとアップで撮ってみよう!と思いながら撮らずじまいでした。
9月上旬の蜂場の様子
9月上旬の蜂場の様子
かわいいカエル君もいました(9月)
かわいいカエル君もいました

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