無給餌越冬

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あっという間に10月も中旬に差し掛かりました。
10月に入ったとたんに、びっくりするくらい寒くなりました。
ついこの間まで「あつー!」と言っていたのが嘘のようです。全国的にそんな感じなのでしょうか?


以前も書いたように思いますが、秋は、養蜂するうえではあまり楽しい季節ではありません。
春から夏にかけて盛り上がっていたミツバチの数も減ってきて寂しくなるし、襲い来るスズメバチの防御もしなければならないし、何よりダニの被害が顕著に目に見えて出るのが秋なのです。
越冬に向け、ひたすらミツバチの守りに注力する季節です。


スズメバチに関して言うと、従来はキイロスズメバチがメインで、オオスズメバチはほとんど来なかったのですが、年々、オオスズメバチの割合が増えてきました。
今年はキイロスズメバチが少なめで、オオスズメバチ、コガタスズメバチがけっこう目立ちます。

オオスズメバチに目をつけられると厄介で、何も対策せずに放っておけば群を皆殺しにされかねず、補殺器(巣箱の巣門の前につける、スズメバチを捉えるカゴのようなワナ)に入ってもそのカゴの中でミツバチを虐殺するし、怖くて困った存在です。

毎朝見回りをして、巣箱の前でオオスズメバチが飛び回っていれば網でつかまえ、補殺器に入っていれば生きた状態でピンセットでつかんで取り出して、ネズミ捕りシートにくっつけます。
こうすると、後から来たオオスズメバチは自らシートにくっついてくれるのです。
この作業も、全くもって楽しい作業ではなく、一歩間違えば自分がスズメバチに刺されて命に関わる危険もあるわけで、そもそもスズメバチだって家族のためにやっているのに、私はなにをしてるんだろう…と毎度思います。

コアシナガバチもスズメバチに襲われて全滅

ある朝、見回りをしに行ったら、ねずみとりシートになんとシジュウカラがくっついてしまっていました。
「えっ!!うそやろ!?」と思わずなぜか関西弁で口走ってしまいました。
「どうしようどうしよう…!」と動揺して、とりあえずシートから離さなければ、とゆっくり剥がしたのですが、粘着力が強いのでシジュウカラが傷つかないかと怖かったです。とても華奢な体でした。
とりあえず離せたものの、ベトベトが羽毛にくっついていて、とても飛べるような状態ではありませんでした。

そこで遅ればせながらネットで対処法がないか調べたところ、まずシートから剥がすときに、接着部分に小麦粉などサラサラした粉をふりかけてベトベトを吸着させ被害が広がらないようにしたうえでゆっくりはがす、という情報を得ました。
慌てずに最初から調べればよかったです…
ともかく小麦粉を用意してシジュウカラの羽毛にふりかけて、少しずつベトベトを取り去っていきました。
ベトベトはとれてきましたが、完全に取り去るのは難しそうでした。(水で洗ったりするのはNGだそうです)
動物病院などに連れて行ったほうがいいのか…と考えましたが、シジュウカラは動けるようになると逃げようとして暴れるし、私の力でとれるところまでとったところで放すことにしました。

その後、シジュウカラは無事に元に戻れただろうか…と数日悶々としてしまいました。
小鳥がくっついてしまうということは初めてでしたが、そうでなくても、ネズミ捕りシートにはミツバチがくっついてしまうこともあるし、トンボや蝶もよくくっついています。
私は生き物に迷惑をかけている…という気持ちが強くなってしまいます。
ハエもくっついていますが、ハエならいいやと思ってる自分もどうなのかなという感じです。


ダニについては、一昨年の、元気だと思っていた群が、ある日蓋をあけたら壊滅状態、という悪夢のようなダニ大被害が起きたのが10月中旬でしたので、その時のことがしばしばフラッシュバックしてハラハラしていました。
ダニの落下数などはモニターしているので状態の推測はできるものの、実際どの程度入り込んでいるのか正確なところは外から見ただけでは分からないのです。
今年は、一昨年ほどではないものの、何群かそれなりの被害が出てしまいました。これもガッカリです。
対策に甘さがあったのだと思います。
常に作業の記録はとっているので、また来年に向けて傾向と対策を考えたいと思います。


作業を負担に感じることが多く、私は本当に養蜂を「やりたい」と思っているのだろうか?とすらこの頃考えてしまっています。
でも「やめたいか?」と自問すると、やめたいとまでは思わないという状況でしょうか。
常に楽しいこととつらいこととがありますが、秋はつらさが勝る感じです。


そんな、なんだか全くいいことのない秋のようですが、ひとつ今年初のよいことがあります。
それは、越冬前の給餌を一度もしないで済んでいるということです。
例年、秋は越冬中の食料をしっかりもたせるように給餌をして補うのですが、今年はソバの蜜がたくさん入り、全く給餌をしなくても十分な貯蜜がある状態になっています。
貯蜜が足りなめな群も、取り置いていた蜜枠や他の群の余剰分を融通することで補えています。

給餌をするという作業もけっこう面倒で大変なので、それをしなくてよいというのはかなり助かります。
何よりなんだか非難されがちな「砂糖水を与える」ということをしないで済んでいるというのはなんとなく気持ちが軽い気がします。
来年以降も、たくさんソバの蜜が入るよう、周囲でソバを栽培してくれる人が増えるといいなと思います。

越冬に入るまであと半月あまり、まだやることはあり、気が重いこともありますが、思い残すことのないよう頑張りたいと思います。

これはカボチャの花を訪れたミツバチ

話は変わりますが、先日薬草の会で、オリジナル薬草茶を作りました。
いろいろな薬草類を乾燥させたものを先生が用意してくれ、その中から期待する薬効のあるものを選んで必要があれば煎ったりしてブレンドし、やげん(薬研)で砕きました。
「やげん」という道具、聞いたことはありましたが、実物を触ったのは初めてです。
江戸時代の薬屋さんなんかはこんな感じで、患者さんに合わせたオーダーメイドの薬を作っていたのかなぁなどと、ゴリゴリやりながら想像しました。
ちなみに私は更年期に効く薬草茶を作りました…

やげん(薬研)。ずっしり重いです。