三歩進んで二歩下がる

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気がつけば11月です。
先日、八ヶ岳が冠雪していましたが、例年より暖かい11月だと感じます。

10月の上旬には、ミツバチたち、このまま越冬に入れそうだなーと余裕すら感じていたのですが、10月の中旬過ぎ、念のためもう一度見ておこうくらいの気持ちで内検したところ、驚愕の事態が繰り広げられていました。

ミツバチの天敵…現在、養蜂で最大の問題ともいえる、つまるところ養蜂家の天敵である、ミツバチヘギイタダニが…
「えっ、あんなに元気だったのに!?」という群のミツバチがガクッと数を減らしていたり。ダニにやられたのか女王がいなくなっていた群もありました。
アンビリバボーな状況でした。
爆発的な破壊力に愕然です。ダニおそるべしです。

ショックを通り越した感がありますが、ともかく、出来ることをしなければ…と、越冬を目前に対応に追われています。
いつもなら11月に入ったら巣箱に冬用のカバーをつけ、もう巣箱は開けないのですが、暖かいので、ギリギリまでなんとかしようというところです。

今年は、ミツバチの群数を増やそうと奮闘してきた一方、細やかな対応が追いつかなかった自覚はあります。
一般的な養蜂では、ケミカルなダニ駆除剤を一定期間巣箱内に吊るしておくのですが、そういった薬剤は使わず、手間はかかってもオーガニックな手法で、と心がけていたものの、やることが多すぎてタイミングを逃したことがあったりしました。
昨年がうまくいったので、慢心から油断していた面もあると思います。大反省です。
つらい状況ですが、全て自分のせいとはっきりしており、誰かや何かに怒りをぶつけられる余地もなく、現実を受け止めるしかありません。
いっそ清々しい…とはいえやはり少々しんどいです。
私の至らなさのためにミツバチを苦しめてしまって申し訳ないです。

せっかく増やした群も、1群中のミツバチの数が少なくては冬が越せないので合同しなければならず、また女王蜂を犠牲にしなければなりません。
自分が移虫して誕生させ、大事にしてきた女王蜂。
無事に羽化し、産卵開始した時はうれしかったなぁ…あんなことこんなことあったよね…と思い出がかけめぐります。
毎晩、酒がすすむことすすむこと…(なんて、何もなくても飲んでいますが!)

先日、大阪の蜂友が、東京へ出かける途中に立ち寄っていったのですが、その時の蜂談義で、やはり女王蜂を廃するのはきついですね、とか、はちみつも、根こそぎ奪ってしまえばもっと採れるけどできないですよね…などという話をしました。
「ミツバチをモノとして扱うか、生き物として扱うかで違いますね」と言われ、本当にそうだと思いました。
モノとして扱えたら、辛くもないし、生産性ももっと上がるのでしょう。

私は、自分で殺せない動物は食べないことにしている(料理として出された場合は、残さず食べています)のですが、虫でこれだけ煩悶するのだから、他の動物だったら私は本当に無理だと改めて思います。
いちいちこんなにしんどいなんて、私は養蜂家に向いていないのかもしれない…と思ったりもします。
食を提供してもらうということは、誰かにこういう痛みを引き受けてもらっているということなんだなと改めて思います。
もっと割り切れたら楽なのになぁと思うのですが、いつまでたっても慣れることができません。
引退女王蜂の老人ホームのようなものが作れたらいいのですが!

ただ、とっても元気な群もあり、それは救いです。
また、こんな状況になったからこそ、望みをかけて新しい方法も試しており、勉強になっています。
次のシーズンはこんな思いをしないよう、今回の経験を活かしてしっかり対策していきます。

群数がリセットされてしまいました。仕切り直しです。
また、前回は全群越冬できましたが、今回は既にダニのせいで弱っている可能性もあり、分かりません。
ミツバチの体力を信じて春を待つしかないです。
来年は自分の技術力とキャパにおいて十分にケアができる群数を見極めながらやっていくようにします。

起きてしまったことはひきずっていても仕方がないので、気持ちを切り替えていかないとですね。
無駄な経験などない、ということを、またミツバチが教えてくれているのだと思います。

なんだか気が重くなる話が多くて、恐縮です!

ごめんね。ありがとう、さよなら