はちのわ越冬ヒストリー(3)

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前回につづき、過去の越冬を振り返ります。

第四次越冬(2018-2019)

第三次越冬で越冬装備のポイントがつかめたので、それを生かしつつ、またオリジナル巣箱の開発と試作をすすめる中での越冬となりました。

2019.1

トップエントランスも有効であると確信できたので、継続することにしました。
キルトボックスは、冬は主に断熱と換気のために、春から秋にかけては換気に加えて上面給餌にも使用できるものとして常時使用するものとして開発することにしました。

トップエントランスからミツバチとこんにちはできるのが楽しい

この越冬の結果では、一群を失い、また女王蜂が不在になっていた群もありましたが、全体としては成功でした。

越冬の成否は、主にミツバチの健全度によるところが大きいのだということを実感したように思います。
越冬に入る前に弱群だったり健康状態の思わしくなかった群に対して、いくら保温したり餌をもたせたりしたところで、越冬の成功は難しいと思います。

第五次越冬(2019-2020)

2019年12月に原村に完全に移住して、迎えた越冬でした。
いつもミツバチたちのそばにいられることが嬉しく、また安心でした。

オリジナル巣箱の構想もほぼかたまりました。
従来の巣箱の群と試作のオリジナル巣箱の群が混在した越冬となりました。

オリジナルの巣箱のほうが旧巣箱より快適に越冬できるようだという感触をつかめました。

2019.12
2020.1.24

第六次越冬(2020-2021)

2020年、試作をかさねて仕様のかたまったオリジナル巣箱を、木工屋さんに頼んで組み立てキットとして作ってもらいました。
そして新旧巣箱が混在していた状況から、新巣箱への完全乗り換えをはかりました。
従来の大きさ(deep)の7枚巣箱の上にオリジナル巣箱(medium)をのせて、移行させていきました。
なかなか大変でしたが、2020年のうちに移行させることができました。

2020.5 完成したオリジナル巣箱
2021.1

この越冬回では、越冬明けに合同が必要な弱群も発生せず、全群が元気な状態でした。
オリジナル巣箱のほうが越冬がうまくいく!という確信を得て満足でした。

この頃はまだ「群数を増やして、はちみつをたくさん採る!」ということを目標にしていました。
それで翌年、痛い目を見ることになるのですが…

第七次越冬(2021-2022)

「群をふやすぞ!」と意気込んで、巣箱もたくさん組み立てた2021年の春でした。
最終的に30群まで群を増やすのが目標でした。

2021年の秋までに、たしか27群まで増やしました。
10月上旬までは、ミツバチの状態も順調だと思っていたのですが…
そろそろ越冬準備を…という10月中旬にきて、ミツバチがびっくりするくらい減っていました。
いわゆる、蜂群の崩壊というものを経験したのです。
ダニが原因でした。あわてて処置をしましたが、結局合同したりで群数がリセットされてしまいました。

ほんとうに精神的にガックリと落ち込みました。
群数の多さに追われ、オーガニックな手法の手間のかかるケアを行き届かせることができていなかったのでした。
自分の力量と限界を知ることになりました。

2022.1.25

弱群は合同したとはいえ、完全に健全な群だけではなかったので持ちこたえられなかった群があり、越冬に入った群のうち越冬できたのは3分の2という結果になりました。
越冬できても、かなりミツバチが減っている群もあったりと、前年にくらべるとがっかりな結果となりました。

”たくさんの群を持ち、はちみつをたくさん採る”という方向性は自分には向いていないと分かり、無理なく丁寧なケアができる群数でやっていこう、と決めることができました。

第八次越冬(2022-2023)

前回の失敗をふまえ、群数をおさえてケアをしっかりゆきとどかせるよう心がけました。
前年にミツバチがガックリと減ってしまった時期と同じ時期のこの年のミツバチの状態はとてもよく、「これなら全群越冬できる」という確信に近い思いを抱きました。

そして結果は、全群越冬成功でした。
越冬明けのミツバチの健全度もよいものでした。
2023年の大寒の頃には、最低気温は-15度くらいまでいっていましたが、ミツバチさえ元気ならば寒さは問題ではないということが改めて確信できたのでした。

2023年に越冬について一旦まとめた記事があるので、リンクをはっておきます。
過去記事:越冬について

2022.12.27

第九次(2023〜2024)・第十次越冬(2024〜2025)

第九次、第十次越冬…と続きますが、越冬結果は、元気な群もあれば、弱体化してしまい越冬できなかった群もありと、完璧というわけではありませんでした。

越冬装備のポイントは一応つかめたので、越冬の成否は、ひたすらミツバチの健康度にかかっているといえます。
ミツバチの健康に関係することはいろいろありますが、まずはダニをいかに制するか…だと思います。
それが毎年完璧にできるかというと…なかなか難しいものです。
気を抜かずに毎年研鑽していこうと思います。

以上、はちのわの過去10年の越冬を振り返ってみました。
養蜂をされている方、これからされる方に、何かご参考になることがあれば、幸いです。
今でも、この寒冷地で越冬をさせている、と言うとびっくりされることがあるのですが、暖かい場所へ連れていかなくても越冬できるということはぜひ知っていただきたいです。

春の群勢の立ち上がりを早くしたいといった目的で温暖な地にミツバチを持っていくという場合もあると思いますが、ゆっくり養蜂ができればよいなら、定飼でその土地の季節のペースに合わせてやっていけばよいと思います。

やはり今年は全国的に過去最悪とも言われるミツバチ不足とのことです。

身近でも、毎年リンゴの交配のためにミツバチを借りている農家さんが、今年はミツバチを出せないと言われてしまった、と言っていました。
他をあたってなんとか借りられることになったそうですが、ミツバチ不足は、ミツバチによるポリネーションに頼っている農産物にも大きく影響します。

ミツバチ不足の主な原因はやはりダニに起因するようで、従来の化学合成のダニ駆除剤がもう効かないということが、はっきりしてしまった感があります。
耐性が出づらいと言われていた薬剤(アピバール)も、もう効かなくなってきているそうです。

ただ、先日養蜂協会の集まりがあった時聞いた話で、越冬中にミツバチが消えてしまった、という養蜂家の方がいました。
巣箱内で死んでしまったなら死骸が残っているはずですが、何もなくスッカラカンだったそうです。
真冬なので逃去も考えにくく、原因が分からないとのことです。
いわゆるCCD(Colony Collapse Disorder:蜂群崩壊症候群)なのでしょうか…

昨年、日本でCCDに似た蜂群の崩壊現象が多く発生したそうです。

CCDはネオニコチノイド系農薬によって神経が麻痺したミツバチが、巣箱への帰り道がわからなくなってしまうことが原因のひとつと考えられていますが、農薬の他にもミツバチヘギイタダニ、ウイルス、栄養不足…なども考えられるとのことで、単純ではないうえに、まだ研究途中とのことです。

農薬が無くなれば…心配は減りますが…それは自分ではコントロールすることができません。
少なくともまず養蜂家ができることはダニ対策を徹底することですが、化学合成の薬剤に頼るだけでは防御は難しい段階にきており、複数の手法を組み合わせて対処することが重要になってきているようです。
はちのわではかねてより薬に頼らず、いくつかの手法を組み合わせてはいますが、今後それでも難しくなっていくこともあるのだろうか…?と少々不安も感じます。

どうやってミツバチを守り維持していくか、考えどころです。

今まではちのわでは、全群全滅といった事態は起こったことがなく、2019年以降は種蜂も買うことなくずっとミツバチをつなげることができています。

11年前には大きな壁だった寒冷地での越冬という課題は乗り越えられたので、今後はミツバチを健康に保つ方法をさらに考えながら、はちのわの元気なミツバチをつなげていきたいです。