はちのわ越冬ヒストリー(2)

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前回、立春の日に記事をアップした後、外に出たところ、日差しが暖かく、春を感じる陽気でした。
すべての巣箱からミツバチたちが外に出てきて飛んでいて、ほっと嬉しい気持ちになりました。

しかし、週末からまたグッと寒くなり、雪景色です。
選挙の日は日中も気温はマイナスでした。
ミツバチももうひとがんばりです。

しばらくニワトリたちのことを書いていませんでしたが、現在、2022年生まれの2羽(おーちゃん、ふくちゃん)が健在で、2025年に迎えた3羽と合計5羽で元気に暮らしています。

最初はやはり年配のニワトリが若者に対して威圧的な態度だったので、小屋も別にしていましたが、今は5羽一緒に穏やかに過ごしています。

2022年に迎えた6羽は、それぞれ羽の模様や性格に違いが見られて名前もつけやすかったのですが、2025年の3羽は見た目にほとんど差がなく、なかなか名前がつけられませんでした。
ラン、スー、ミキにしようと思っていたのですが、どうもしっくりこないなぁという感じもありました。

かろうじて1羽が若干羽の色味が違い、ポーッとした様子もあって「ポーちゃん」と名前をつけました。
あとの2羽はいまだに見分けがついていなくて、2羽まとめて「金さん銀さん」ということにしています。
長生きするようにと願いもこめて…

手前がポーちゃん、奥の2羽が金さん銀さん
老若、穏やかにすごしています

越冬ヒストリーのつづきです。

第三次越冬(2017-2018)

第二次越冬の失敗を受けて、2017年は越冬を成功させることを目標に、とにかくミツバチを健全に保つことに注力し、オーガニックなダニ処理の方法を模索したり、また巣箱も、使いやすくミツバチが過ごしやすいものを考えていろいろ試行錯誤していました。
同時に世界の寒冷地ではどのようにミツバチを越冬させているのか、どういった越冬装備をしているのかの情報も求めて調べ続けていました。

寒いといえばカナダやロシアなど…実際にそこで越冬できている現実を知れたことは希望でした。
また調べるうちに、日本の情報には無かった、越冬に関する考え方やヒントを得ることができました。

この時に得た大事なキーワードは
“Cold does not kill bees, wetness does.”
(寒さは蜂を殺さない。湿気が殺すのだ。)
でした。これは本当に肝心なことだと思います。

そして越冬の装備に関して、現在のように巣箱の上部に換気口兼出入り口を設けてみよう、と決めたのはこの記事がきっかけでした。

An upper entrance in winter
[Honey Bee Suite : A BETTER WAY TO BEE]

また、同時に、キルトボックス(Quilt Box)という存在を知り、ぜひ試してみたいと思いました。
キルトボックスは日本では一般的でなく、もちろん既製品もありませんでした。
海外ではいろいろな方が自作していたので、参考にしながら、既存の巣箱の上になんとかキルトボックスをつけようと、DIYで作りました。
そもそも日本の巣箱が海外のものと違うのでどういう作りにするかも悩みましたし、腕がよくないのでピシッと作れず、悪戦苦闘しました。

How to make a moisture quilt for a Langstroth hive
[Honey Bee Suite : A BETTER WAY TO BEE]

キルトボックスの基本的な形状は下の写真のようなものです。
これを巣箱本体の上に置き、中に湿気を吸収する木屑や麻布等を入れます。
私は前年に使った羊毛の断熱材をクッションのように仕立てて入れることにしました。
羊毛は断熱や吸湿・放湿効果に優れているので、よいのではと考えたからです。
また取り扱いも楽だと思いました。
現在でもよく機能していると思っているので正解だったかなと思います。

正面下部の切り欠き状の部分がミツバチの出入り口兼換気口になります。

MannLake社のキルトボックス

自作キルトボックス製作中の様子、こんな写真しかありませんでした…
キルトボックスの底面は3分割した有孔ボードにし、取り外せるようにしていました。
後に書きますが、フォンダンを置いたり、通常時に上面給餌もできるようにしたいと考えたためです。
有孔ボードの穴の大きさは5mmで、ミツバチは通れないと思っていたのですが、通り抜けてしまうことがあり、焦りました。

2017.10 キルトボックス手作り中
2017.11.7

手前の一番右端の巣箱が、10枚巣箱の上にキルトボックスをのせた状態です。

なお、巣箱本体の前後についている換気窓は不要と判断したのでトビラを固定して塞いでいます。
継箱を改造して巣箱本体として使ったりもしました。板厚を厚くするために板を打ち付けもしました。
側面と背面にはスタイロをつけています。
日本の巣箱の板厚は寒冷地では薄すぎだと思います。

ともかく無いものは作るしかないのでDIYで悪戦苦闘、いろいろ調べては試して、苦心惨憺といった日々でした。

巣箱の上部に出入り口兼換気穴などつけてしまって本当に大丈夫なのか、内心ドキドキものでしたが、うまく機能したようです。
結果的に結露問題は解決し、ミツバチがいる場所はいつも乾いている状態です。
また暖かい時には上部エントランスからミツバチが外に出てきたり、冬の間もミツバチの姿をチラ見することができて嬉しくなりました。
ミツバチたちは冬期の出入りには暖かくアクセス容易な上部エントランスのほうを使用し、下部にある本来の巣門はほぼ使用しないことがわかりました。

2018.1

最近、MannLake社で「10 Frame Hot Box and Moisture Board」というものを販売していました。
これについての説明の図が、断熱と換気の考え方をよく表しているように思います。
はちのわのキルトボックスも機能的にはこれとほぼ同様です。
MannLakeのこのHot Boxにはグラスファイバーの断熱材が充填されているそうです。

MannLakeのwebサイトより

冬の間、ミツバチは群れをなして巣箱内の温度を自然に維持します。巣箱内の温度が上昇すると、ホットボックスが内部の暖かい空気と外部の冷たい空気を分離します。これにより、巣箱内の結露が軽減され、巣箱内の湿気過多によるミツバチの溺死や凍死のリスクを軽減します。ミツバチの熱はホットボックスによって巣箱内に保持され、断熱効果も高まります。

保湿ボードは横風換気を可能にし、追加の水分を吸収するのに役立ちます。巣箱内の蒸気はホットボックスを通過し、保湿ボードに閉じ込められて蒸発します。

当社のホットボックスとモイスチャーボードは、北部の気候の養蜂家向けに特別に設計されていますが、冬の気温によっては温暖な地域でもご使用いただけます。これらのユニットは、5-5/8インチの浅いスーパーで構成され、上部と下部にワイヤー境界が設けられています。R19グラスファイバー断熱材が充填されており、優れた断熱性を発揮します。北部の気候では、気温が50°F(約10℃)を下回り始める中秋から晩秋にかけて、巣箱に追加することをお勧めします。上部の巣箱本体の上に直接設置してください。南部の気候では、2番目の巣箱本体の上に設置することをお勧めします。

2017.12.12

この回ではキャンディボードは入れませんでした。
餌は貯蜜で乗り切れると思ってはいたのですが、年が明けてから心配性が頭をもたげてしまいました。

当時、フランスに赴きあちらの養蜂家を訪ねた養蜂仲間がいて、フランスから買って帰ってきた巣箱や養蜂器具を見せてもらったことがあるのですが、その中にミツバチ用のフォンダンがありました。
そんなしゃれた、ミツバチ用フォンダンなど日本では販売されていなかったので「へぇぇー」と感心しました。

フォンダンとは砂糖と水を煮て作られた白いクリーム状の製菓材料です。
キャンディボードも砂糖と水ですが、以前自作した時に、砂糖は温度の微妙な変化で状態が全く変わることを学習しました。
フォンダンは砂糖を107〜115℃程度まで熱したものだそうです。
作ろうと思えば作れるのかもしれませんが、自信がなかったので、市販品を探しました。

その時に楽天で見つけて購入したのがこちらです
ユニオン フォンダン 業務用

現在は俵養蜂さんでフォンダンを取り扱っているようです。

フォンダン
2018.2.5

これをキルトボックスの有孔ボードをひとつ外して、下面からミツバチがアクセスできるようにして置きました。
溶け落ちることもなく、ミツバチもよく食べました。
貯蜜があっても、フォンダンを先に食べていました。美味しかったのでしょうか…
貯蜜も結果的には足りていたので、フォンダンなどは必須ではなかったと思います。
もし越冬中に餌切れが心配になった際には、冬に砂糖水の給餌はNGなので、フォンダンは有効だと思います。

現在は、貯蜜で十分なので補助的な飼料は入れていません。

そして、苦心の末の越冬の結果は…全群越冬成功!でした。
とはいえ、だいぶミツバチが減ってかろうじて越冬できたという群もあったので完璧とまでは言えませんでしたが、前年に比べると大きな進歩だったと思います。

振り返ればこの第三次越冬で、寒冷地の越冬について「こうすればいいんだ!」というポイントがつかめたのでした。

翌年以降は、越冬装備の重要ポイントはつかめたので、女性が一人で作業できる、寒冷地に適している、扱いやすい、などの点を考慮したオリジナル巣箱の開発・試作をすすめながら、越冬装備についても細かい調整や改良をしていきました。

次回ざっと、第四次越冬以降を振り返ってみようと思います。