女性と養蜂

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クリスマスの翌日、この冬はじめて雪が積もりました。
最低気温もマイナス10度くらいまで下がり、いよいよ寒さも本番になってきました。

シリカゲルのようなあられ状の雪でした

12月9日に、長野県養蜂協会養蜂研修会が開催されました。
毎年、長野県内の支部が持ち回りで開催を担当し、今年は諏訪支部が主催ということで、私たち支部の理事たちが役割分担をしてホスト役を務めました。

研修会の内容は、まずは諏訪の紹介ということで岡谷の「シルクファクトおかや」の見学、その後ホテルにて、富士見高校養蜂部のみなさんによる発表と、京都産業大学准教授の高橋純一氏(著書:『ミツバチの秘密』)の講演、そして懇談会、という流れでした。

長野県養蜂協会というくくりでのこういった大きな集まりには私自身は今まで参加したことがなかったのですが、あらためて、長野県には9つの支部(佐久、諏訪、上伊那、飯田下伊那、松本、北安曇、 長野、高水、上小)があり、各支部から参加してくださる方々がけっこういるんだなと分かりました。

このように各支部との交流がはかられるのはよいことだなと思いました。
支部長さんや事務局長さんのご尽力に感謝したいです。

女性はほぼいないだろうな…と予想はしていたのですが、やはり参加者はほぼ男性、おおむね高齢の傾向でした。
でも、ちらほらと女性の姿が!
少しお話ができたのは、お一人で養蜂をされている若い女性と、ご夫婦で養蜂をされている女性でした。
いずれにしても女性がいるのは嬉しいものです。
ちなみに諏訪支部には私の他にもう一人女性がいます。

私が初めて養蜂協会に参加させていただいた頃も、男性ばかりで正直萎縮しましたし、養蜂業会は男性社会なんだなぁとつくづく思ったものです。
現在は女性がもう一人支部に入ってくださり、そしてなんやかんやで私も10年ほど在籍しているため、だいぶ緊張もほぐれましたが、それでもやはり、男性の集まりにおじゃまさせていただいている…といった気分は残っています。

ただ、懇親会では、同じテーブルについた他支部の方々と和やかにお話ができましたし、サイドビジネスとして養蜂をされている方や、面白い趣味や逸話をお持ちの方など、いろいろな方がいるのだなぁとほっとしました。
また、私が原村在住だと言ったら、「原村なら、はちのわってご存知ですか」と言われ、「それ、私です…!」という嬉しいような恥ずかしいような一幕もありました。
世間て狭いものですね…というか、養蜂界は狭くて、だいたいどこかでつながっているんだな、というのは前々から思ってはいたところです。


現状、養蜂協会は、養蜂を稼業にしていたり、会社として大規模に養蜂を展開している男性がメインの構成になっているように思います。
もちろん趣味で養蜂をしている方もいらっしゃいますが、いずれにしても養蜂の主眼が、どれだけはちみつがたくさん採れたか、どれだけ純粋なアカシアの単花蜜が採れたか…といったところになっているような印象があります。
稼業ならば当然と思います。

私も、もともとは稼業にする意気込みで養蜂を始めたのですが、私にははちみつだけで生業とするのは無理だと途中で悟り、また、いかに稼ぐかということより、いかにミツバチに元気に幸せに過ごしてもらうか…といったことのほうが大事になりました。
また女性が一人で養蜂をするには従来の巣箱では無理があることが身にしみたので、一念発起してオリジナルの巣箱も作りましたし、ミツバチを元気に保つノウハウもわかってきたところです。
はちみつはたくさん採れればもちろん嬉しいですが、ミツバチが困らないよう、採る量は控えめですし、また、単花蜜が採れないことを残念だとも特に思いません。
百花蜜には百花蜜の美味しさや価値があると思っているからです。
また、はちみつの量よりも、質を大事にしたいとも思います。

そういった、無理せず、ミツバチを愛でながら、おいしいはちみつを分けてもらおう、という気持ちで養蜂をするなら、女性も養蜂に向いていると思いますし、日本でももっと女性の養蜂家が増えたらいいなと思います。
今、日本で単独で養蜂をしている女性はどれくらいいるのでしょうか。
いることは分かっているし、周りにもそれなりには知っているのですが…協会には所属していないなど、あまり表に出てこないので少なく見えるだけでしょうか。

薪の間にジバチが。冬眠中の女王蜂でしょうか

来年以降、女性に向けた養蜂の講座やワークショップのようなことができたらいいなぁ…と考え始めています。
支部のもう一人の女性の方も、そういうのやりましょう!と言ってくださったので、実現できたらいいなーと思っています。

また、日本で使われている一般的な巣箱よりも一回り小さい、mediumサイズのはちのわのオリジナル巣箱についても、女性が使いやすいと思いますので、いずれ寸法などの詳細もお知らせしたいと思いますし、需要があれば、いつか生産・販売ができたらいいなーとも考え中です。

研修の翌日、寒冷地での越冬の現場を見ていただく、という主旨で、講演をしてくださった高橋先生が2箇所の蜂場を見学に訪れることになっていました。
そのうち1箇所がはちのわの蜂場でした。
他支部の方も数人一緒にいらっしゃることになり、少し緊張しながらお迎えしました。

はちのわの巣箱のことや、越冬の際のポイントと思うことについて説明をさせていただきました。
現状大きな巣箱で大規模に養蜂をされている方にはあまりお役に立たなかったかもしれませんが、もし何かの参考になったのであれば、嬉しいです。

見学に来てくださった他支部の方で、跡継ぎがいない、とおっしゃっている方がいました。
娘さんがいらっしゃるそうですが、養蜂をやる気はないそうです。
女性向けの養蜂講座の構想をちょっと話したら「娘に受けさせようかな」とおっしゃっていました。

養蜂業会も他業界同様に高齢化が問題になっているそうです。
若い養蜂家が参入しやすくなって、日本各地で蜜源植物を増やしたり自然環境の回復をしながら養蜂に取り組めるような土壌ができたらいいなと思います。

12月に入ってすぐのことでしたが、私が養蜂を勉強するにあたって、大変お世話になった養蜂家の方の訃報が届きました。
作業中の事故だったそうです。驚き、呆然としました。
大規模に養蜂業を営まれていて、娘さんがいずれ跡を継ぐということは聞いてはいましたが、このような形で突然に引き継ぐことになり、本当に大変なことだろうと思います。
でも彼女は女性とはいえ、重機を操ったり、毎日朝早くから暗くなるまで男性顔負けの働きを今までもされていましたから、きっと乗り越えられていくだろうと思います。
また女性として、新しい目線での養蜂業もいずれ確立されることだろうなと思います。
陰ながら応援させていただきたいと思います。

ツグミの夫婦が来ました

なおミツバチ不足は、全国的に相当深刻とのことです。
現場では数百群規模で群が消滅するなどの事象が起きているそうです。
主な原因はやはりミツバチヘギイタダニにあるようで、従来の化学合成のダニ駆除剤が、いよいよ効かなくなっているもようです。
今回の研修会の講演の内容も、アメリカで使われ始めている新しいタイプのダニ駆除剤のお話でした。

はちのわは化学合成のダニ駆除剤には頼っていないので、大丈夫だろう…と思う気持ちもありますが、決して油断はできないので、気をつけていかなければと思います。

今年、無事に養蜂ができたことを感謝し、来年も無事に養蜂できることを祈って、今年をしめくくりたいと思います。

今年もはちのわに関心をもっていただきありがとうございました。
のびのびになっているオンラインショップの再開ですが、来年早めにはご案内したいと思っています。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年は干し柿成功しました