はちのわ日誌

農薬は身近に

11月に入ると同時にミツバチの冬支度もひとまず完了し、ほっと一息ついて過ごしていたらあっという間に時間が過ぎてしまいました。
一度寒くなりましたがその後暖かい日が多く、このあとどうなるのかな?と少し気になります。
八ヶ岳も雪化粧したかと思うと消えて、を繰り返しています。

11月上旬の八ヶ岳

はちのわのセイヨウミツバチもニホンミツバチも、元気です。
お互いに盗蜂(他の群を襲ってはちみつを盗むこと)が起こることもなく、それぞれ穏やかに過ごしています。
自分の巣に十分な食料(はちみつ)があれば、他群から奪う必要などなく、また、群が強ければ襲われることもないのでしょう。

冬仕度をしたセイヨウミツバチの巣箱
こちらはニホンミツバチの巣箱
ニホンミツバチも元気です!

さて、周辺の農薬について書くと言っておいてのびのびになっていましたが、楽しくない話題は済ませてしまったほうがよいですね。
「はちのわの蜂場の半径数km以内に農薬は使われていないか?」というご質問に対して、答えは「No(使われている)」。そのことについて説明します。

はちのわは、八ヶ岳の西麓、標高1150mの森の中にあります。
このあたりは農地の限界に近く、標高が低くなるにしたがって農地や民家が多くなり、山側は森、別荘地などという場所です。

蜂場から少し離れたところにも農地がありますが、目の前ではなく、ミツバチたちは近くに蜜源があればあえて農地にはいかないだろうと思います。
しかし行く可能性はゼロではありません。
その農地には農薬が使われていると思った方がよいでしょう。

そして、農家さんだけでなく、一般の人が簡単に手に入れられる農薬もあるのをご存知でしょうか。

少し前に、ニュージーランド産のマヌカハニーからグリホサートが検出されたというニュースがありました。
『新型コロナで人気沸騰の高級蜂蜜から発がん性疑惑農薬』(yahoo!ニュース 2020.8.16)
農場や牧場が汚染源だそうです。
グリホサートは発がん性が疑われて世界では使用禁止の動きが広がっている除草剤の成分です。(以前「はちみつコラム」でもとりあげました
しかしニュージーランドでも…!という思いです。
世界の流れに逆行している農薬大国日本はどうなのでしょう?

ホームセンターで誰でも買えるグリホサート (ラウンドアップ)

上の写真は、いつも利用するホームセンターです。
どこのホームセンターでも見られる光景かもしれません。
目立つところにずらっと陳列されているこの「ラウンドアップ」の主成分はグリホサートです。

先日、地域の川の清掃があったのですが、ゴミの中にラウンドアップの容器があったのです。
近くで誰かが使っているんだ…川にも流れているかもしれないんだ…と、ショックでした。
現状では、どうかミツバチたちが接触しませんように、と願うほかありません。

このように、農薬は身近に存在します。
上記のニュースの中に、こんな一文がありました。

“農薬汚染に敏感な養蜂業者は、ヘリコプターを使うなどして、農薬汚染の心配のない山奥に巣箱を設置するという。逆に、安全意識が比較的低い養蜂業者は、農薬汚染のリスクを承知で作業が楽な場所に巣箱を設置し、結果的にグリホサートが蜂蜜に混入してしまうという。”

ヘリコプター…?個人にはとても無理でしょう。
作業が楽な場所に巣箱を設置…?養蜂家はどこでも置きたい場所に好き勝手に巣箱を置けるわけじゃないのはニュージーランドだってそうなのではと思うのですが(少なくとも日本では申請、調整、許可が必要)。

養蜂家だけが苦労して、農薬のない環境を探し求めてミツバチを移動すべきなのでしょうか。
農薬の心配をしなくてよい環境を作る方向へ、社会全体が動くのが正解では?と思います。
はちのわでは抗生物質やケミカルなダニ駆除剤(農薬)を使用しないでミツバチを育てるよう努めています。(※これらの薬剤が使用されていても用法用量がきちんと守られていればはちみつに残留することはありません)
でも環境の農薬まではコントロールできません。
はちみつの農薬汚染について、養蜂家だけを責めないでほしいなぁと思うのです。
農薬が使われる場所の近くで養蜂をせざるを得ない養蜂家さんたちはミツバチを守るために本当に苦労されています。

はちのわでは過去、はちみつの残留農薬(115項目)の検査をして全て非検出でしたが、検査費用が高く個人で毎回継続して検査するのは難しいです。
(しかも115項目もやっても農薬成分の全てではないのです)
今後も、安心できるはちみつを提供するためにできることを考えていきたいです。

こちらでできた友人たちと訪れたもみじ湖にて
一息つきながらまた来年に向けて準備します!

小さなはちのわ(輪)

今回は周辺の農薬について書く予定でしたが、あまり楽しくない話題が続いてしまったので、それはまた今度にして、ちょっと嬉しかったことを書きたいと思います。

蜂場がある場所は、6年前は、戦後人工的に植えられたカラマツばかりの森で、ご多聞にもれずほとんど手入れがされていない状態でした。
カラマツだけを伐採してもらい、カラマツの間できゅうくつそうにしていた広葉樹は残してもらいました。

伐採直後は荒地のようになってしまったのですが、その後広葉樹も元気になってきて、他にもグングンいろいろな木が生え、名も知らぬ花々も咲くようになり緑が広がりました。
蜜源樹の苗木も植えていますが、それよりも勝手に生えてくる植物の勢いが思っていた以上です。

植物の名前が知りたくてスマホに「PictureThis」というアプリをいれてみました。
植物の写真を撮ると、AIが識別して名前を教えてくれるというアプリです。
その場ですぐ名前が分かるというのはとても楽しくて助かります。
(時々違うこともあるけれど、アタリはつけられます)
使用料が年2900円ということですが、植物図鑑で苦労して調べることを考えたら、払ってもいいかなと思います。

おかげで、名前を知る前はただの雑草的な認識だった小さなお花の名前がいろいろ分かりました。
そして、その花をミツバチが利用しているのを見るととても嬉しくなります。

コセンダングサ
ナギナタコウジュ

また、いろいろな鳥もやってくるのですが、名前を知らない鳥がほとんどです。
鳥の場合は姿を目に焼き付けて、その後急いで図鑑を見て脳内の像と照合します。

ある日、小鳥が数羽でやってきて、5年前に植えた蜜源樹、エゴノキの実をくちばしでとっていきました。
エゴノキの実は青く固そうで、食べられそうではないなぁと思っていたので意外でした。
そして、どこからかコツコツ、という音がするのです。
アカゲラなどもよく来るのでそれが木をつついている音かなと思ったのですが、ちょっと違う感じの音です。

エゴノキの実

今回も小鳥の特徴を目に焼き付けて急いで調べたところ、ヤマガラだと分かりました。
そして、ヤマガラはエゴノキの実が好物で、固い実をくちばしでコツコツと割って中身を食べるということを知りました。
冬に備えて実を地面に隠したりもするそうで、それがそのまま残ることもあり、そこからまたエゴノキが生えてくるそうです。

この表紙の絵の一番上にいるのがヤマガラ

ミツバチがエゴノキの花を訪れ、受粉させ実ができて、それをヤマガラが食べ、種を運び新たなエゴノキが生える…
小さな循環、はちのわ(輪)ができている!ととても嬉しくなりました。

ここで地鎮祭を行ったとき、土地の神様に、ここを、虫や鳥や動物たちが集えるよい場所にしますので、住むことをお許しください、と心の中でお願いしたのですが、約束を少し果たすことができた…と思いました。
はちのわの願い、蜂の輪(と、蜂の和)がもっともっと大きくなるようにと思います。

ヤマハッカ
ノコンギク
アキノウナギツカミ(へんな名前…)
アキノウナギツカミ拡大。小さな小さな花の集合体でした。

ミツバチと砂糖水

早いものでもう10月です。
数日前、朝の気温が0度近くになっていてびっくりしました。
日中はまだ暖かいのでつい油断しそうになりますが、ミツバチの冬支度もいつ寒くなってもいいように安心できるところまで終わらせないと!というところです。

さて、前回の記事で、ミツバチと砂糖水、周辺環境の農薬について、改めて書くということにしたので、今回は砂糖水について書きたいと思います。

(まず大前提として、砂糖水を与えてミツバチにはちみつを作らせ販売する、というのは論外としての話となります。)

「ミツバチに砂糖水?不自然!ミツバチかわいそう!」…と、私も養蜂を知らなかった頃なら思ったでしょう。
けれど、結論として、ミツバチに一切砂糖水を与えないで(=給餌せず)養蜂を営む、というのはかなり難しいと思います。

はちみつとして一般に流通しているのはセイヨウミツバチのはちみつです。
セイヨウミツバチは明治時代に日本に輸入されました。
虫といえども、飼育するには保健所に届けを出す必要のある「家畜」です。

人間がミツバチの恩恵にあずかろうとする以上、他の家畜同様、完全な自然任せにしていては破綻してしまいます。
しかも養蜂に関しては、ミツバチが自分たちで食べるはずのはちみつを、全部ではないにしても奪っているわけですから…

ミツバチの餌として使われるのが、砂糖(ショ糖)です。
ミツバチはショ糖をブドウ糖と果糖に分解してはちみつを作ります。
餌には基本的に白砂糖(ショ糖含有率98%)が使われます。
精製された砂糖は体によくない、と言われますし、キビ砂糖などのほうがマシなのではないか?と考えたこともあったのですが、ミツバチの腸には不純物がかえって負担になるという説もあり、現状白砂糖が一番無難と考えています。
砂糖水に、ミツバチに必要な栄養素などのサプリメントを加えていますが、自然の花蜜に勝るものはないですし、砂糖水なんて与えないで済めばそんなにハッピーなことはないなと常々思っています。

しかし現実的には、無給餌というのは、例えば趣味養蜂でごくわずかしかはちみつをとらないとか、年間を通じてよほど蜜源植物が豊富な環境にいるか、などでないと難しいと思います。

特にはちのわの養蜂場は寒冷地なので、長い越冬期間の前には給餌をして補わないと、ミツバチが餓死してしまいます。
また、今年の長雨のような場合や、群を分けて増やし育てていく過程などでも砂糖水を与えることがあります。

でもやはりできれば砂糖水の給餌は減らせたらいいなと思います。
今後、ミツバチを増やすと同時に蜜源植物をもっと増やすことで、給餌を減らすことができるかもしれないと考えています。

なるべくミツバチにストレスをかけないで、自然に幸せに過ごしてもらいたい…と考えて日々試行錯誤していますが、そもそも日本の自然界では自力では生きていけないセイヨウミツバチを飼っていること自体が不自然では?と極端に考えてモヤっとしたりもします。
自然な養蜂、ってなんだろう…って考えてしまいます。

日本だと、本当はニホンミツバチでの養蜂が自然に近いといえるかもしれません。
実際江戸時代まではニホンミツバチでの養蜂がさかんだったのですし、皆が自分でニホンミツバチを飼えば、保護にもなり、はちみつも分けてもらえていいかもしれませんね。

この季節、スズメバチ(主にキイロスズメバチ。ミツバチを1匹ずつ捕まえて拉致します。集団で虐殺におよぶオオスズメバチが来ないのは本当に助かっています。)がミツバチを襲いに来るので、ミツバチを守るためにスズメバチは退治しなければなりません。
また、単独で冬を越えられそうにない群は、強い群に合同させる必要があり、その場合、弱い女王蜂は自らの手で処分しなければなりません。
目線をかえれば、それだってひどいことですし、自然なことではありません。
やりたくないなぁ…といつも憂鬱です。
でも養蜂を続けるには避けられないことです。
好きなことをするというのは、楽しいだけじゃないんだよな…と、かみしめる秋です。

はちのわのニホンミツバチとセイヨウミツバチの、キイロスズメバチに対する様子を動画に撮ってみました。
近づくキイロスズメバチを、ニホンミツバチはおしりを高く上げブルブルっと振って威嚇しますが、セイヨウミツバチはそういった行動はしません。セイヨウは健気に立ち上がって前脚を広げ「コラー!来たらやってやるんだからね!」という感じです。

ニホンミツバチ動画は途中スローにしています。
ニホンミツバチがおしりを振る様子が、(必死なのに申し訳ないですが)とてもかわいいです。

いろいろあるけれど

日中はまだ日差しが強いですが、空気はすでにすっかり秋です。
暑かった夏(とはいえこちらはエアコンなしで過ごせました!)も終わります。
毎日あっという間に時間が過ぎていきます。
いろいろと考えたことやお伝えしたいことはあったのですが、まとめる余裕がなく時間があいてしまいました。

まずは、夏のはちみつについてですが、とても残念ですが、今年も採るのを断念しました。
ご希望くださっていた方には本当に申し訳ございません。

今年の梅雨はまさに来る日も来る日も雨…しかも長く続きました。
ミツバチたちは外に蜜を集めに出ることができず、貯めていたはちみつをどんどん消費してしまいました。
採蜜群(はちみつを採らせてもらうミツバチの群)には、採蜜期間中は給餌をしないのですが、あまりの雨続きに巣箱内のはちみつがほとんどカラになってしまい…夏の蜜が入るまでなんとかがんばって!とストックの蜜枠を入れたりしていましたが十分でなく、見るに見かねて給餌を行いました。

ミツバチに対する給餌というのは砂糖水(+栄養素などのサプリメント)で行います。
給餌を行うと、花蜜に砂糖が混ざる可能性がありますので、その後貯まった夏の蜜を、人間用に採るのはあきらめることにしました。

今年はいろいろと、期待が大きかっただけにガックリ度の高いことが続きました。
しかし、採蜜群が分蜂を起こしてしまった(ということはもうその群からはちみつを分けてもらえない)頃には、「起こったことは起こったこととしてただ受け止め、一喜一憂するのはやめよう…!」「冷静に原因と対策を考えよう…!」と、肝が据わったといいますか、もはやそうしないと、今後も何か起こるたびに落ち込んでいたらメンタルがやられる…と思いました。
ミツバチに成長させてもらいました。ありがとう…

まずはミツバチをもっと増やすことだ!と頭を切り替え、現状、今までで一番多い群数になっています。
しかもダニもほとんどいなくて元気な群が多いです。
これならきっと来年は…!とつい考えそうになりますが、「来年のことを言うと鬼が笑う」といいますし、また何が起こるかは分かりません。
欲を出さず、でもよいイメージだけは保つようにして(難しいですね)、淡々とやれることをやっていきたいと思っています。

それにしても、この間春が来て息つく間もなく駆け抜けてきて、もう冬支度に向かうという…あっという間のシーズンでした。
こちらへ定住して初めてのシーズン、はちみつの収量という意味では全く思惑通りにはにいきませんでしたが、ここで今後やっていくためのシステム固めがだいぶできたと思います。

ところで、しばしば複数の方からいただくご質問に
 「ミツバチに砂糖水は与えていませんか?」
 「周囲の環境(半径数km)に農薬は使われていませんか?」
というものがあります。

がっかりされるかもしれませんが、いずれも答えは「No」ということになります。

ミツバチに砂糖水を与えるなんて…と眉をひそめられるかもしれません。
(私も自分で養蜂をする以前だったらそう感じただろうと思います。)
また、自然の多いところなのにまわりで農薬なんて使われているの?と思われるかもしれません。

これらのことについて詳しくお伝えしたいのですが、長くなってしまうので次回から書いてみたいと思います。

蜂場に自生するハギの花を訪れるミツバチ

雨雨雨の7月

今年の長雨にはほとほと参ります。
各地でまたも災害が起きてしまいました。被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。
当地でも連日のように大雨警報やら土砂災害警報やらが出て気が気ではありませんでした。

初夏のはちみつは、7月の上旬に雨の隙をついて採蜜したのですが、ミツバチたちは連日の雨で思うように外に蜜を集めに出かけられない状況だったので、いつもよりもはちみつを多く残すようにしました。
ですので、人間用に分けてもらった分はだいぶ少ないものとなりました。

今年は本当に貴重な初夏のはちみつ

その後も雨は降り続き、ミツバチたちは残しておいたはちみつも消費する一方。
また、雨で思うように巣箱を開けられず、久々に内検した強勢群に王台がたくさん作られていてびっくりということがあり…
初めて、セイヨウミツバチを分蜂させてしまいました。
分蜂群はやはり高い枝に留まってしまい、空き巣箱を置いて待ちましたが、戻ってきてくれませんでした。
セイヨウミツバチは日本の自然の中では自力で生き残ることは難しいので、行く末が案じられます。
王台からは新しい女王が生まれました。
来年、活躍してくれるといいなと思います。

初夏のはちみつは、残念ながら大瓶(300g・500g)はご用意できそうにありません。
求めてくださる方に十分にお応えできないことが本当に残念ですし心苦しいです。
夏のはちみつ作りはこれからが本番ですが、どうなることやらわかりません。

自然のことだから思うようにはならない…と分かっているとはいえ、昨年「来年こそは!」とがんばってきただけに、次に初夏のはちみつが採れる機会はまた1年先なのか…と思った時の、徒労感の凄まじさたるや、です。
昨年の不作に今年の長雨。ミツバチが好きでなかったら、養蜂を投げ出しているかもなぁと思いました。

とはいえ、こんな中でも学ぶことは多く、何事も経験、今後に生かすように、ということなのでしょう。

7月はほとんど雨で悶々としているうちに終わってしまいました。
8月に入ると同時に梅雨も明けた?ようです。
これほどまでに雨に悩まされ、お日様を待ち望んだのは、初めてかもしれません。

オンラインショップのほうの対応が遅れていて申し訳ございません。いましばらくお待ちください。

笹離宮さんにも、森のしずく(50g・100g)を置いていただけることになりました。

雨の笹離宮
久々の晴れ間にニホンとセイヨウのツーショット

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